e-literature

フランスの食べ物(5)

Un chou de Bruxelles 芽キャベツ

 二人の感情が、もうどうにも手に負えないぐらいの、あの青とも赤ともつかない炎に包まれている時。その季節を離れてしまった者たちからは、二人がひどくおかしなことをやっているように見える場合がある。

続きを読む

フランスの食べ物(4)

Une cougette ズッキーニ

 ズッキーニの形から連想するもの。人それぞれ。
 ズッキーニの使い方。人それぞれ。
 ズッキーニのカットの仕方。人それぞれ。

続きを読む

フランスの食べ物(3)

Un artchaut アーティーチョーク

 アーティーチョークは、一抱えもある花の支えだ。花びらが散ったあと、肥大化したその萼の中身をいただく。白くて、ねっとりしていて、それでいて身離れがよく、うっすらとではあるが、海の底の舌平目の味さえもする。ひとつのアーティーチョークで、いったい幾つの萼と夢が膨らむのだろう。

続きを読む

フランスの食べ物(2)

Un potiron   かぼちゃ

 互いを意識するようになった二人は、いつまでも街のなかを歩いていられるものではない。映画などもっての他。あれは一人で観るもの、一人で完結させるものだ。それを二人で観に行くとなれば、両者の間からはなにかが急速に消えつつある。用心されることだ。

続きを読む

フランスの食べ物(1)

Une pomme de terre じゃがいも

 初めて会った二人が、気持ちが通じ合う可能性を感じた時、「アンシャンテ」と言いながら、互いにそっと一つずつ、掌にのせあうもの。出会いが予感される日、女は胸の谷間にこれを挟み、男はジーンズの前ポケットに、さも巨大な情熱が横向きに寝ているかのようにねじ込む。

続きを読む

Return to page top